Kairouan/カイルーアン
2日目 Kの日記
 日目の朝。カイルーアン(現地の人はケルーアンと発音する。)行きのルアージュをつかまえる。 2.8TD(約280円)ほど。1時間余りの旅程だった。途中、この国での必需品であるミネラルウォーターを買う。 運転手の話では「サブリーヌSABRINE」という銘柄がおいしい、という。
 カイルーアンでは以前も宿泊したことのあるメディナ(旧市街)のホテルマルハラ(MARHARA)にチェックイン。迷路のような旧市街のど真ん中に位置する伝統的な安宿である。トイレ、シャワーは共同。でも、しろい漆喰の壁に青緑色(チュニジアンブルー)の窓を配した雰囲気のある建物である。朝食つきで7TD。朝食なしで5.5TD(550円)にする。
 口ひげをはやしたホテルの主人が妙に親切だった。彼は日本人の女性と結婚したばかりだと言う。初めは信じられなかったが、(よく口だけでそんなことを言う人がいる)生まれたばかりの赤ん坊の写真も見せてくれた。一年前に恋に落ち、南を一緒に旅して結婚・・・そんな話を聞きながら、ミントティーをごちそうになった。
 その後、早速街に出る。なんだか騒がしい。街が以前来たときよりもずっと観光化されてしまったようだ。昼にはホテルの主人が連れていってくれたレストランいきなりぼられてしまい、嫌な思いをすることになる。
 まじめそうな親子がきりもりするいかにも清潔なレストランだったが、オムレツとサラダと水を注文しただけで一人4TDを請求された。普通の相場では、オムレツが0.8-9TD、サラダが0.5-7TD、水は0.6TDというところ。この国ではこんなことは日常茶飯事なので必ず入る前に値段をしっかり確かめてから選ぶことにしていたのだが、今回はホテルの主人の紹介だったので油断してしまったのだ。一般的に観光客のための値段とチュニジア人向けの値段は全く違うといわれる。特にこれだけ観光地化されてしまったところでは、当たり前にまかり通ることなのである。私達のように頑固に現地の人と同じ体験をしようとするものは、むしろ珍しい。長くフランスの植民地であったチュニジアは、今ではフランス人を初めとするヨーロッパ人の格好のリゾート地である。ヨーロッパから来た観光客達は気前良く彼等にお金をばらまいていくのだ。
 チュニジア人の聖地、カイルーアンは大分様変わりしていた。純粋な目をしたこども達も少なくなり、外国人を見るとお金をせびる。数年前に訪れたときには、この街を誇りとする人々に会うことができた。カイルーアンは聖なる街だと、会う人、会う人が誇らしげに語った。3度この街を訪れれば、メッカに一度巡礼したのと同じ事になるのだと聞いていた。3度目の訪問を楽しみにしていた私はカイルーアンの変貌に失望せずにはいられなかった。それとも人々の生活はこれで以前よりも(少なくとも経済的に)豊かになったといえるのだろうか。
 午後、メディナを散策した。シエスタの時間。街はひっそりとしている。路地裏の行き止まり。日陰に転がる達を発見。私達もそこでひと休み。猫のいるところが一番涼しいというのは本当らしい。3人でぼうっと座っていると、屋根の上から赤い布を巻いたおじさんが手をふった。暇ならこっちで一緒に働かないかと誘っているようだった。屋根にペンキを塗っているらしい。突き当たりの家から女の子が出てきて珍しそうに私達を眺めて、にこっと笑った。一度家に引っ込むと、何か食べ物をもってきた。私達はフランス語でお礼を言ったが、特に話すわけでもなく、女の子はちょっとはにかんだ様子で家に入っていった。この静かな午後のひとときがカイルーアンでの唯一の収穫だった。
 私達はしばらく滞在しようと計画していたカイルーアンを出、次の日、一気に南下することを決めた。
 その晩は、観光客の多い旧市街の外で食事をした。チュニジアンスープ(クスクスと同じ赤くて辛いスープ)とチュニジア名物、ブリックを注文。ブリックはごく一般に食されるポピュラーなメニューのひとつ。春巻きの皮のようなものに卵と野菜を詰め、油で揚げたもの。カリッとしていておいしい。レモンを絞って手掴みで食べる。合わせて1.3TDだった。


カイルーアンのグランドモスク

カイルーアン旧市街

カイルーアン旧市街

カイルーアンのレストラン外観

日陰に寝る猫

屋根の上のおじさん

私達を覗く子供

街のタピ(カーペット)屋のディスプレイ

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