ュニジア旅の ークル


チュニジア旅行記
寄稿: 越崎 健司

3月14日(金) 晴れ
(シェビカ、タメルツァ、ミデス−山の中のオアシスと洪水で廃墟と化した町  トズール−Belvedere Rocks、Dar Charait 美術館  ネフターコルベイユ)

  シェビカ、タメルツァ、ミデスはトズールの近くにある山のオアシスだ。私はトズ ールでイタリア人2人とともに半日ツアー(30TD(3400円))を取ることになった。岩山 や崖の立ち並ぶ間にやしの木や川があり恐竜でも出て来そうな世界、1969年の大洪水 によって廃墟と化してしまった町、岩山の中の滝・・・。いろいろなものを見たが、 それらは実に美しく砂漠に飽き飽きしていた私にとって良い気分転換となった。ここ に存在する土の平原や岩山の景色はグランドキャニオンやカッパドキアを思い出させ る。岩山の大きさや形のおもしろさではそれらにかなわないが、やしの木や廃墟とい う特殊なものとの組み合わせが非常に印象的な世界であった。

 ツアーが終わってからトズールを歩き回った。岩山からの展望を楽しめるBelveder e Rocksに行くとすぐそばから何もない平原が広がるのが見え、立派に見えるこの町 も砂漠の中にあることに気付かされた。ガイドブックにこの国でバルドー美術館以外 で唯一見る価値のある美術館と書かれていたDar Charait 美術館に行くと、女性の伝 統的な衣装や結婚式の様子が展示されていた。特に服全体に金をちりばめた衣装を着 た女性が指を黒く塗るといった見慣れない化粧をしている結婚式の様子は興味深かっ た。それはまさに本やゲームで出てきた異世界のもののようであり、今回の旅行中に 運良く人の結婚式を見られることが期待された。

 福田さんとついに別れ、ネフタに来た。半日ツアーで一緒だったイタリア人に、ネ フタには町を二分するやし林であるコルベイユぐらいしか見るものはなく、それも大 したことはなくてつまらない町だと言われていた。私も砂漠の町には飽きていて、今 日ネフタに泊まるのは明日アルジェリアとの国境近くの町ハズーアに行くためであっ た。宿を取るとまだ明るいのでコルベイユ(花かご)を見に行くことにした。歩いて いると出会った物売りのおっさんが、おまえはどこに行くんだ、コルベイユは方向が 違う、付いてこい、と片言の英語で言う。ところが、コルベイユらしきなつめやし林 が見えても彼はまだ歩いていく。これは道を教えてくれただけではすまないな、とは 思ったが、もう日暮れも近いし効率よく見られるならガイド代を払うことになっても いいか、とそのまま付いていった。しかし、そこは別に今まで見たなつめやし林と大 差なく、その美しさのために「ネフタの花かご」と呼ばれている、とガイドブックに 書いてあったのが理解できなかった。いよいよ日暮れが近づいてきた。こんなやし林 の中で暗くなったらたまらない。彼に、大通りに戻りたい、と言うと、まだ時間はあ るしこっちも楽しい、とさらにやし林に連れていこうとする。かなりあやしい。俺は 戻るんだ、と言い続けると、今度はやし林の方を指して抱き合ったりキスするジェス チャーをし始めた。この野郎、俺に女でも買わせる気か、と思ったらなんと彼と私を 交互に指さす。冗談じゃない。海外でホモに絡まれたのは初めてだが、知り合ったば かりの観光客にこんなことを持ちかけるその根性が許せない。あまりに頭にきたので 大通りに向けて一人で歩き出すと、ガイド料5TD(560円)、と言ってきた。日本大使 館で、チップなんてせいぜい0.5TD(60円)ですよ、と聞いていたので、おまえは英語 できないんだから、と2TD(230円)にさせた。もうこんなやつの顔も見たくない。さ っさと行け、と言っているのに、まだなつめやし林を指さして抱き合うジェスチャー をしやがる。ふざけんな。無視して大通りに出るとついてきて、カフェに一緒に行こ う、と言ってくる。非常に感じ悪かった。

 宿の前で5、6人の男性と話した。彼らは人が通るたびに挨拶を交わす。チュニジ アの挨拶は、「サラーム」といいながら握手をするものであり、そこにいる人みんな にする。もちろん私も含めてだ。そのせいもあって、彼らと話していると、私が彼ら と昔から知人であったような、彼らとそこにいることが当然のことであるような感じ を受ける。その一方で、私たちはアラブだからアメリカもイスラエルも嫌いで、フセ インは英雄だ、なんてことを聞くと、いつもと違う世界にいることに気付かさせられ ておもしろい。

 宿に戻るとここのじいさんが酒を飲んでいて、私も呼ばれて一緒にそのやしの酒を 飲むことになった。こうなることは、実はこの宿の書き置きノートを読んで予想して いたことだった。久しぶりのお酒はとてもおいしかった。確かに宿のじいさんはいい 人だが、客は私1人で、3人部屋のドアに鍵はなく、例のガイドが襲ってきたらどう しようかと恐れながら寝た。

 ネフタは自力では宿に戻れないほど道が入り組んだ古い町で、他の町より人々が挨 拶しあうのをよく見かけ、下町のような雰囲気がある。本来なら人の生活を見るのが 好きな私に適したタイプの町なのだろうが、見るものもないし、明日少し歩き回った らさっさと出てしまおう。砂漠の町に飽きている今の私にとって、この古い町は、新 しい町トズール以上にうんざりであった。

ホテルチェック:Hotel de la Liberte
4TD(450円)、3人部屋、トイレ共同
場所が実にわかりにくい。部屋には鍵がなく、中もきれいとは言えない。しかし、 宿のじいさんは英語が話せないが非常にフレンドリーでおもしろい人だ。彼に会うだ けでもここに泊まる意味があるだろう。


チュニジア旅行時、1TD(チュニジアンディナール)≒ 113円 、$1≒ 124円。時差 は8時間。
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