ュニジア旅の ークル


チュニジア旅行記
寄稿: 越崎 健司

最後に

 今回の旅行費は、航空券(アエロフロート)8万円、現地で7万円(ツアーや土産 代も込み)で合計15万円ほどだった。宿代(一泊600円ほど)はさほど高くなかった が、食事(夕食が500円ほど)と何回か取ったツアーが意外に高かった。

 チュニジアにいる間、3つの苦労があった。一つ目は言葉の通じない苦労。これは チュニジアがアラビア語とフランス語の国なのである程度は覚悟していたのだが、必 要なときに言葉が通じない苛立ちは精神的な疲れを蓄積させた。二つ目は気候による 苦労。南部ではとにかく陽射しが強い。だからといって昼間行動しないわけにはいか ず、肉体的な疲労が蓄積していった。気温はそう高くなく乾燥しているため、汗は出 ず暑さもあまり感じないが、どんどんエネルギーが吸い取られていく、という感じな のだ。三つ目は交通の便の悪さによる苦労。特に南部では、ルアージュで人が集まる まで数時間待たされたり、行きたい所に行く方法がなかったり、ヒッチハイクするこ とになったり、と散々だった。そういった所ではタクシーがないため、どうしようも ないのだ。

 チュニジアではヨーロッパの人をよく見かけ、彼らには人気のある場所なのだと感 じた。それに比べ日本人観光客はほとんどいなかった。そのせいかチュニジアでは日 本人は非常に珍しい存在のようだ。道を歩いていれば若い男性から声が飛んでくる。 「ジャポネ(日本人)!」というのはまだいい。「ジャッキーチェン!」「ブルース ・リー!」「シナ(中国人)!」と言われる方が多い。さらに子供達はもっとたちが 悪い。歩いていればついてくるし、休んでいれば取り囲んでくる。私が元気なときは 相手をするのだが、体や心の疲れがたまっているときには、集まってちょっかいを出 してくる子供ほど苛立つものはない。このせいで何度疲れが倍増したことか。

 チュニジアの食事は基本的に単調だ。特にレストランでのメニューがどこに行って も大差ないのにはがっかりさせられる。ネフタのラルーシ家の人の話ではクスクスと スパゲティの2つがチュニジアの主な食事だそうだが、この2つも、辛目の香辛料を 用いた同じ味のソースを使っている。初めはこの味が嫌だった。しかし、南部にいて 疲労がたまるにつれて私はこの味を食べたくてしかたなくなっていた。結局、食事は その土地に適したものだということなのだろう。また、アインドラハムのブカリ家で はいろいろな家庭料理をいただいたが、それらは実に工夫が凝らされ独特で、レスト ランのものとは比べものにならなかった。もしチュニジアを訪れることがあって運が 良ければ、ぜひ家庭料理を食べてみてほしい。

 チュニジアは予想外に普通の国だった。期待していたほどのカルチャーショックを 感じることもなかった。実際、違いをみつけることよりも、いつの間にか同化してい る楽しさを感じることの方が多かった。中国で感じた「友好」やトルコで感じた「温 かい歓迎」と違って、まさに「同化」なのだ。しかし、その、私のような遠方から来 た旅行者ですらも同化させてしまう人々の考えこそチュニジア人の大きな特長である ことに気付いたのは、東京に帰ってきて人々が妙に冷めているように感じたときにな ってからだった。



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