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チュニスは大都会である。物価が高く、ごみごみした感じはヨーロッパの大都市に似ている。というよりも、イスラム文化が都市文化であることを考えれば、こっちの方が古いということになるのだろう。街の一部を占める旧市街だけでも容易に道に迷うほど巨大である。まるで迷路のように入り組んだ細い道があちこちで交差し、前ぶれもなく行き止まる。もっとも今回の私たちはチュニスに滞在するつもりもなく、旧市街に迷うこともなかったが。 バスを降りると私たちは一路チュニジアの国鉄(SNTF)駅をめざした。すぐにでもチュニスの南に位置する街、スースまで行くつもりだった。そこで、パリから到着するEと合流するのである。幸い、14時10分にスファックス行きの電車があることがわかった。 チュニジアのいいところは、交通の便が比較的よく整っているところである。主な交通手段としては、国鉄の他に長距離バスとルアージュと呼ばれる乗合タクシーがあげられる。国鉄は快適だが、路線が未発達のため、行き先も本数もかなり限られる。しかし、その分長距離バスやルアージュを使えば、チュニジア中ほとんど行けないところはない。 ![]() | 特にルアージュは、融通が利いて便利な上に値段もバスとさほど変わらない。しかも、システムもしっかりしていて外国人でもぼられることはほとんどない。むしろ、メーターのあやしいタクシーよりも安心かもしれない。だから、たいていの場合、移動にはルアージュを利用することになる。ただし、チュニスのルアージュの乗り場はかなり街の中心から離れているから、スースに行くには国鉄の方がより便利であった。 国鉄は快適だと書いたが、よい席に恵まれればのことである。それとも車掌に気に入られれば、といってもいいかもしれない。最初私たちの座った席は暑さがひどく喉も乾いて二人とも風景を楽しむ元気さえなくなっていた。そこへ、髭面の車掌がやってきて私たちに声をかけた。こっちにいい席があるから来てみないかというのである。私たちは藁をもつかむ気持ちで、とにかく荷物をまとめてついていった。途中、その車掌は子連れの女性や他の男性にも数人声をかけている。私たちの後をぞろぞろとそれらの人々が続いた。私たちはいくつもの車両を長いこと歩いた。そして、辿り着いた先は、 まさに天国だった。冷房の利いた車両である。そこは不思議と他の車両よりもすいていた。クラスが違うという訳でもないらしい。とにかく、私たちは車掌に礼を言って席についた。他の人たちもそれぞれ落ちつき先を見つけたようだった。車掌は満足げな微笑みを残して出ていった。それ以後の旅はまさに快適であったが、その車掌がいったい何を基準にここへつれてくる人々を選んでいたのか、それだけは私にもUにも最後まで謎のままだった。 |
